このページの要点
- 通知書を受け取っただけで請求を認めたことにはならないが、権利の承認があると時効は新たに進行する(民法152条1項)。返信は受領と回答時期に絞る。
- 期限は、到達日、固定日付か日数か、民法140条〜142条の数え方、何を返すべきかの四点で読む。二重表記は早い日付で動き、回答書で理解した期限を明記する。
- 回答書は、受領した事実・事実関係の認否・自分の主張・求める事項・連絡窓口の順に書く。事実を認めることと債務を認めることは別。
- 解除の意思表示は撤回できない(民法540条2項)。通知の誤りは訂正の通知で直し、戻ってきたときは理由の確認、再送、公示(民法98条)の順に検討する。
通知書を受け取ったとき、最初に感じるのは、期限と請求の重さではないでしょうか。「何を、いつまでに、どうしなければならないのか」が分からないまま、とりあえず電話やメールで返事をしてしまうと、思わぬ形で請求を認めたことになる場合があります。一方、通知を出す側にも、書いたあとで誤りに気づく、受け取ってもらえない、無視される、といった場面があります。
このページでは、通知書を受け取った側の動き方と、通知を出した側が誤りや不達に気づいたときの動き方を、手続の順序として整理します。受領と承認の違い、期限の読み方、回答書の構成、訂正の通知、戻ってきたときの選択肢の順に見ていきます。時効にかかわる承認や催告の考え方は催告で時効は止まるのかのページ、到達の判断は通知はいつ届いたことになるかのページで、それぞれ詳しく扱っています。争いの当否の判断や、反論の中身、代理・交渉は扱いません。
結論:受領と承認と認否を、分けて動く
通知書を受け取っただけで、請求を認めたことにはなりません。ただし、返信の文言や、一部の支払、分割の提案などが、権利の承認と評価されることがあります。権利の承認があったときは、時効は、その時から新たにその進行を始めます(民法152条1項)。承認は、時効の更新の事由の一つです。
そこで、通知書を受け取ったら、受領、認否、承認・応答の三つを分けて考えます。受領は、通知書を受け取った事実を伝えることです。認否は、通知書に書かれた事実が、そのとおりかどうかを伝えることです。承認・応答は、請求を認めて支払や履行に応じることです。最初の返信は、受領だけにとどめ、内容を確認してから認否をする、という順序が基本です。
通知書を受け取ったときの、三つの動作を分ける
受領
通知書を受け取った事実を伝える。
- いつ、どの通知書を受領したかだけを書く
- 内容を認めるかどうかは書かない
- 受領書や返信で、債務の承認と読める文言を避ける
認否
通知書に書かれた事実が、そのとおりか否かを伝える。
- 事実ごとに、認める・認めない・分からないを分ける
- 資料で確かめられる点を先に整理する
- 認めない点は、理由と資料を添える
承認・応答
債務や請求を認めて、支払や履行に応じる。
- 債務の承認は時効の更新の事由になりうる
- 一部支払や分割の提案も、承認と評価されることがある
- 応じる場合は、金額、方法、期限を書面で明確にする
受け取った通知書にどう応じるかは、受領、認否、承認・応答の順に考えます。三つを混ぜた返信を出すと、受領のつもりの文が承認と読まれたり、認否が不明確になったりします。
カードのとおり、三つの動作は目的が違います。回答書の文面でも、この三つが混ざらないように、段落を分けて書きます。ここでいう承認が時効に与える影響は、個別の事案で時効が完成しているかどうかの判断とは別の話で、このガイドでは判断しません。
受領と承認の違い:返信の文言に注意する
承認とは、一般に、相手方の権利の存在を知っていることを表示することと説明されます。通知書に対して「お支払いします」「必ず対応します」と返信すれば、請求の権利の存在を認めた表示と読まれる可能性があります。「申し訳ありません、来月まで待ってください」という猶予の願いも、債務の存在を前提にしていると評価されることがあります。一部を支払ったり、分割払いを提案したりする行為も、同様です。
これに対して、「通知書を受領しました」「内容を確認して回答します」という返信は、受領の事実と回答の予定を伝えるだけで、請求を認めた表示にはなりにくいです。ただし、実際に承認に当たるかどうかは、表示の文言、前後の事情、全体の経緯で判断されるものです。そのため、迷う場面では、受領の連絡を短くし、請求を認めたと読める言葉を避けます。
受領書への署名を求められたときも、同様です。受領書は、通知書を受け取った事実を確認するためのもので、内容を認める書面ではありません。ただし、受領書の文面に、「内容を了承しました」のような文言が入っていないかを確かめてから署名します。そのような文言があるときは、受領の事実だけを書いた別の書面にしてもらうか、了承の文言を削ってもらいます。
書き方の例(一般的な例) 受領と回答の書き方
受領の連絡
理由「承知」「対応する」は、請求を認めたと読まれるおそれがあります。受領した事実と、回答する時期だけを書きます。
事実関係の認否
理由「おおむね」では、どの事実を認めたのかが分かりません。項目ごとに、認める・認めない・確認中を書き分けます。
期限の延長の依頼
理由延長は、相手方が応じるかどうかで決まります。依頼であること、依頼する日付、可否の連絡を求めることを書き、延長されたと決めつけません。
表のように、受領の連絡、認否、期限の延長の依頼は、それぞれ書き方が違います。どれも、相手方の主張を認めたとも、認めないとも断定しない書き方から入り、項目ごとに整理します。債務の承認と時効の関係は時効と催告のページで整理しています。
期限の読み方:到達日・日数・休日・何を返すか
通知書には、多くの場合、期限が書かれています。期限を読むときの第一歩は、通知書が届いた日、つまり到達日を確かめることです。通知書の作成日や発送日と、到達日は別の日です。封筒の受領日、受領印、配達の追跡記録で、到達日を確かめます。
次に、期限が固定日付で書かれているのか、「到達後○日以内」と書かれているのかを確かめます。両方が書かれていて、日付と日数が食い違うこともあります。たとえば、固定日付を書いたうえで、「本書到達後一定の日数以内」とも書いてあるときは、どちらが期限なのかが読み取れず、到達日が日付どおりでなければ食い違いが生じます。こうした二重の表記があるときは、早いほうの日付を期限として動くのが安全ですが、回答書の中で、自分が理解した期限を明記しておくと、後の食い違いを減らせます。
日数で数えるときは、民法の期間の計算の考え方を使います。日、週、月または年で期間を定めたときは、初日は算入せず(民法140条)、期間は末日の終了をもって満了します(同法141条)。末日が休日にあたるときは、その日に取引をしない慣習がある場合に限り、翌日に満了します(同法142条)。通知書が、期間の数え方を別に書いているときは、その書き方に従います。
通知書の期限を読むときの日付の整理(一般形)
- 到達日通知書が届いた日封筒の受領日、受領印、追跡記録で確かめる。通知書の作成日や発送日とは別の日として整理する。
- 期限の起算期限の数え方を確認通知書が「到達後○日以内」と書くのか、固定日付を書くのかを確かめる。日数で書かれていれば、民法140条から142条の考え方で数える。
- 期限の日通知書が定めた回答期限この日までに、回答、支払、連絡のどれを求められているかを確かめる。休日にあたる場合の扱いは、書面に定めがなければ民法142条の考え方による。
- 期限後期限が過ぎたあとの動き期限を過ぎたからといって、直ちに権利が失われるとは限らない。通知書が予告している手続、契約書の定めを確かめる。
さらに、期限に何を返すべきかも確かめます。回答なのか、支払なのか、資料の提出なのか、連絡の停止なのかで、動き方が変わります。通知書が一方的に決めた期限は、契約や法律が定めた期限とは性質が違います。期限を過ぎたからといって、直ちに権利が失われるとは限りませんが、通知書が予告している手続や、契約書の定めを、先に確かめておきます。催告による解除の場面で、期間がどう働くかは催告と解除の順序のページで扱っています。
回答書の構成:受領・認否・主張・求め・窓口
通知書に対して書面で回答するときは、構成を決めて書きます。受領した事実、事実関係の認否、自分の主張、求める事項、連絡窓口の五つの順です。この順に書くと、読み手は、何についての回答かを、一読で把握できます。
回答書の構成(上から順に書く)
- 1受領した事実いつ、どの通知書を、いつ受領したかを書きます。通知書の作成日、件名、差出人を特定します。
- 2事実関係の認否通知書の事実の記載を項目ごとに挙げて、認める、認めない、確認中のどれかを書きます。認めない点は、理由を簡潔に書きます。
- 3自分の主張認めない点について、自分の側の事実や、根拠となる契約書の条項、資料を書きます。評価の言葉は避け、事実と根拠を書きます。
- 4求める事項相手方に求める行為(資料の提示、請求の根拠の説明、連絡方法の指定など)を書きます。
- 応じる場合金額、方法、期限を明確にして書面にする
- 応じない場合応じない理由と、今後の連絡方法を書く
- 検討中の場合回答する日付を書く
- 5連絡窓口今後の連絡先(宛先、方法、担当者)を書きます。連絡の方法を書面に限る場合は、その旨も書きます。
回答書は、相手方の主張に反論するための書面ではなく、受領、認否、主張、求めを整理して伝える書面です。争いの当否の判断や、反論の中身は、このガイドでは扱いません。
流れ図のとおり、受領の事実を最初に書きます。次に、通知書の事実の記載を項目ごとに挙げて、認否を書きます。認めない点は、理由を簡潔に書き、資料があれば添えます。主張の段落では、自分の側の事実と根拠を書き、評価の言葉は避けます。求める事項では、相手方にしてほしい行為を書きます。最後に、今後の連絡窓口を書きます。
回答書で気をつけたいのは、認否と承認の区別です。事実関係を認めるのと、債務を認めるのは、別のことです。たとえば、「通知書に書かれた日に契約を結んだ事実は認める」と書いても、「その契約に基づく支払義務がある」と認めたことにはなりません。事実の認否を書くときは、認める対象を、事実に限定して書きます。
回答書を電子メールで出す場合の注意と、記録の残し方は、メール・LINE・電子契約サービスでの通知と記録のページで扱っています。
「異議がなければ承認したものとみなす」という条項への対応
契約書や支払通知書の中に、「通知を受領した日から一定の日数以内に異議を述べないときは、内容を承認したものとみなす」という条項があることがあります。このような条項は、報酬の支払通知書や、精算書、報告書などでよく見られます。契約書にこの条項があるときは、通知を受け取ったあとの動き方が決まります。
この条項に対応するときは、まず、条項が契約書にあるのか、通知書に一方的に書かれているだけなのかを確かめます。契約書の条項は、当事者があらかじめ合意した効果ですから、その範囲で働きます。通知書に一方的に書かれただけの場合は、書かれたとおりの効果が生じるとは限りません。通知書の文面の限界は文面の限界のページで整理しています。
確認の問いと理由「異議がなければ承認したものとみなす」と書かれた通知を受け取ったときの確認
この「みなす」は、契約書に書かれた合意に基づくのか、通知書に一方的に書かれただけか。
契約書に、異議がない場合に承認したものとみなす定めがあれば、その定めが働きます。通知書に書かれただけの場合は、書かれたとおりの効果が生じるとは限りません(「文面の限界」のページで整理しています)。
異議の方式、期限、宛先は、契約書でどう定められているか。
書面でする、一定の日数以内にする、特定の宛先にする、といった定めがあるときは、それに沿って出さないと、異議として扱われないおそれがあります。
期限は、発信日で足りるのか、到達日までに必要なのか。
契約書が「通知する」「異議を述べる」としか書いていないときは、到達日までに届くように出すほうが安全です。
異議を述べたことが、後で証明できるか。
異議の内容、出した日時、宛先、送り方を記録して残します。
異議の内容は、何について争うのかが分かる書き方になっているか。
すべてを一括して争う書き方より、どの項目のどの点に異議があるかを書いたほうが、後の整理がしやすくなります。
異議を述べることは、承認とは逆の意思表示です。ただし、異議が有効に述べられたかどうかは、契約書の定めと出し方で決まります。
異議を述べるときは、契約書に定められた方式、期限、宛先に従います。異議の内容は、何について争うのかが分かる書き方にします。出した日時、宛先、送り方は記録に残します。異議を述べたことは、承認とは逆の意思表示ですが、有効に述べられたかどうかは、契約書の定めと出し方で決まります。
出した通知に誤りがあったとき:訂正の通知
通知を出したあとで、日付、金額、当事者の名称、契約の特定などに誤りがあったことに気づくことがあります。この場合は、誤りの内容によって、対応が変わります。軽微な誤記で、通知の趣旨や効果に影響しないときは、訂正の通知を重ねて出し、前回の通知と合わせて読めるようにします。契約の特定や金額の誤りで、何についての通知か分からなくなるときは、通知のやり直しを検討します。
解除の意思表示は、撤回することができません(民法540条2項)。誤って解除の通知を出したとき、それを撤回する通知を出しても、撤回の効力は生じません。そのため、解除の通知は、出す前の確認が特に重要です。誤りが解除の要件や範囲に関わる場合は、訂正の通知で足りるのか、新たな通知を出すのかを、誤りの内容で判断します。
訂正の通知には、前回の通知を特定し、訂正する部分を示し、訂正後の内容を書きます。期限が関係するときは、期限を起算し直すのか、前回の期限のままなのかを明示します。催告のように、相当の期間を定めて履行を求める通知(民法541条)では、訂正で期間の前提が崩れるおそれがあるため、改めて催告を出し直したほうがよい場合があります。
書き方の例訂正の通知の書き方の例(一般的な例)
- 当方が○年○月○日付で発した通知書(以下「前回の通知」といいます。)に、次の誤りがありました。
- 前回の通知の「○○」とある部分は、「△△」の誤りです。その他の記載に変更はありません。
- 本書は、前回の通知の訂正をお伝えするものです。前回の通知で定めた期限は、本書が貴社に到達した日から○日が経過する日まで延長します。
- 本書の内容に関するご連絡は、前回の通知と同じ宛先にお願いします。
日付、金額、当事者名、契約の特定の誤りは、訂正の通知を重ねて出します。期限を起算し直すのか、前回の期限のままにするのかを、訂正の通知で明示します。
戻ってきた・無視された・届かないとき
出した通知が、不在や留置期間の経過、受取拒否、宛先不明で戻ってくることがあります。このとき、通知が届いたとみなせるのかは、場面によって分かれます。相手方が正当な理由なく到達を妨げたときは、通常到達すべきであった時に到達したものとみなされます(民法97条2項)。ただし、実際にどの場面がこれに当たるかは、事情によって判断されます。判断の整理は、通知はいつ届いたことになるかのページで扱っています。
通知が届いたのに無視された場合は、通知が到達している限り、意思表示としての効力は、相手方の返事の有無とは関係なく生じます(民法97条1項)。返事がないことを承認とみなせるかは、契約書にその定めがあるかなどによります。通知書に一方的に書いただけでは、沈黙を承認とみなす効果は生じません。
通知が戻ってきた・届かないときの地図
- 1まず、戻ってきた理由を確かめる封筒の表示、追跡記録、返戻の理由で、不在、留置期間経過、受取拒否、宛先不明、転居先不明のどれかを確かめます。
- 2別の方法で送り直す追跡できる別の郵便の取扱いと、電子メールなどを併用します。郵便の取扱いの種類と条件は、日本郵便の案内の原文で確認が必要です。
- 住所が分かる場合同じ宛先に、別の取扱いで再送する
- 契約書の通知先が別にある場合契約書の通知先に送る
- 3宛先の調査契約書の記載、取引の記録、公的な書類で、住所の手がかりを確かめます。調査の方法は、目的に必要な範囲に限ります。
- 4それでも所在が分からない場合公示による意思表示(民法98条)が選択肢になります。裁判上の手続(公示送達。民事訴訟法110条)も、手続の入口として知っておきます。
公示による意思表示や公示送達は、裁判所を使う手続です。このガイドでは、通知が届かないときの選択肢の一つとして紹介するにとどめます。
流れ図のように、戻ってきたときは、まず理由を確かめ、別の方法で送り直し、宛先を調べ、それでも所在が分からないときに、公示による意思表示などを検討します。公示による意思表示は、表意者が相手方を知ることができず、またはその所在を知ることができないときに、公示の方法でする意思表示です(民法98条1項)。簡易裁判所の手続を使い、官報への掲載などを経て、最後に官報に掲載した日から2週間を経過した時に到達したものとみなされます(同条2項・3項)。ただし、表意者が相手方を知らないこと、またはその所在を知らないことについて過失があったときは、到達の効力は生じません。訴訟の場面では、公示送達という制度もあります(民事訴訟法110条)。いずれも、手続の入口を知っておくための紹介で、要件や手続の中身は、このガイドでは扱いません。
疑問と整理通知を出したあとの、場面ごとの疑問と整理
通知が不在や留置期間の経過で戻ってきたとき。
戻ってきた理由(不在、留置期間経過、受取拒否、宛先不明)を、返戻の表示や追跡記録で確かめます。相手方が正当な理由なく到達を妨げたときは、通常到達すべきであった時に到達したものとみなされます(民法97条2項)が、場面で分かれます。
通知を出したのに、返事がないとき。
通知が到達していれば、返事がなくても、意思表示の効力には影響しません(民法97条1項)。返事がないことを承認とみなせるのは、契約書にそのような定めがあるときなどに限られます。
通知に誤りがあることに、出したあとで気づいたとき。
訂正の通知を重ねて出します。解除の意思表示は撤回できないため(民法540条2項)、解除通知に誤りがあったときは、訂正で足りるのか、改めて通知し直すのかを、誤りの内容で判断します。
住所が分からず、通知が届かないとき。
表意者が相手方を知ることができず、またはその所在を知ることができないときは、公示の方法で意思表示をすることができます(民法98条)。裁判所の手続を使うため、手続の入口を知るにとどめ、手続の中身はこのガイドでは扱いません。
場面ごとの整理は、判断の入口です。個別の事案への当てはめは、このガイドでは行いません。
通知書を受け取ったときのチェックリスト
- 通知書の到達日を、封筒、受領印、追跡記録で確かめた。
- 通知書の期限が、固定日付なのか、到達後の日数なのかを確かめた。
- 受領の連絡の文に、債務を認めたと読める文言が入っていない。
- 通知書の事実の記載を項目ごとに挙げ、認める・認めない・確認中を整理した。
- 契約書に、異議の方式・期限や、承認とみなす定めがないか確かめた。
- 回答書を出した日時、宛先、送り方を記録した。
通知書を受け取る側・出したあとで起きがちなこと
受け取る側で起きがちなことは、動揺して承認と読める返信をしてしまうこと、期限を過ぎれば権利を失うと思い込むことです。出した側で起きがちなことは、誤りに気づいても放置すること、戻ってきた理由を確かめないことです。
受け取る側・出したあとで起きがちなこと
- 通知書を受け取って動揺し、「分かりました、払います」と返信してしまい、承認と読まれる。
- 期限が過ぎれば権利がなくなると思い込み、通知書が予告している手続の内容を確かめない。
- 一部だけを送金し、何の債務のどの部分に当てたのかを書面で残さない。
- 出した通知の日付や金額の誤りに気づいたが、そのままにして次の通知を重ねる。
- 通知が戻ってきたのに、理由を確かめずに同じ方法で送り直す。
- 回答の期限を、メールで延ばしてもらったつもりでいて、相手方の同意の記録がない。
どちらの立場でも、通知書の扱いは、日付、文言、記録の三つに集約されます。受け取ったら到達日を確かめ、返信の文言を絞り、出した日時と内容を残す。出す側は、誤りに気づいたら訂正の通知を重ね、戻ってきたら理由を確かめて送り直す。この基本を守ることで、多くの混乱は避けられます。なお、契約書の通知条項で、通知先の変更の届出や到達の推定を定めておく方法は、契約書の「通知」条項の作り方のページで扱っています。期間内に出す通知の最終日の動き方は期間内に出す通知のページを参照してください。
よくあるご質問
通知書を受け取ったら、まず何をすればよいですか?
まず、到達日を封筒や追跡記録で確かめ、通知書の期限が固定日付か到達後の日数かを読み取ります。次に、通知書の事実の記載を項目ごとに整理します。最初の返信は、受領の事実と回答する時期だけにとどめるのが基本です。請求を認めたと読める言葉は避けます。権利の承認があったときは、時効は新たにその進行を始めるため(民法152条1項)、返信の文言には注意が必要です。
通知書の期限を過ぎたら、権利を失いますか?
通知書が定めた期限は、通知を出した側が一方的に決めたもので、期限を過ぎたからといって、直ちに権利が失われるとは限りません。通知書が予告している手続や、契約書の定めを確かめます。催告による解除では、相当の期間を定めた催告をし、その期間内に履行がないときに解除できるという構造です(民法541条)。期限の意味は、通知の性質で変わります。
一部だけ支払うと、請求を認めたことになりますか?
一部の支払や分割払いの提案は、債務の承認と評価されることがあります。権利の承認があったときは、時効は新たにその進行を始めます(民法152条1項)。支払う場合は、何の債務のどの部分に当てるのかを書面で明確にし、返信の文言に請求を認める内容が入っていないかを確かめます。承認に当たるかどうかは、事情によって個別に判断されます。
出した通知に誤りがあったとき、どうすればよいですか?
日付、金額、当事者、契約の特定の誤りは、訂正の通知を重ねて出します。訂正の通知では、前回の通知を特定し、訂正する部分と訂正後の内容を示し、期限を起算し直すかどうかを明示します。解除の意思表示は撤回できない(民法540条2項)ため、解除通知の誤りは、誤りの内容で、訂正で足りるか、改めて通知し直すかを判断します。
通知が戻ってきたら、無効になりますか?
通知が戻ってきても、直ちに無効になるわけではありません。相手方が正当な理由なく到達を妨げたときは、通常到達すべきであった時に到達したものとみなされます(民法97条2項)。ただし、不在、留置期間の経過、受取拒否、宛先不明で、到達があったといえるかは場面によって分かれます。まず戻ってきた理由を確かめ、別の方法で送り直し、それでも所在が分からないときは、公示による意思表示(民法98条)などの選択肢があります。
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本ページは一般的な情報提供です。個別の通知書の有効・無効や、争いの当否の判断は扱っていません。書き方の例として紹介している内容は、一般に見られる書き方を整理した例で、特定の事業者や案件を示すものではありません。条文は e-Gov 法令検索(法令API)で確認した現行のものに基づき、まだ施行されていない改正は現行の内容として扱っていません。郵便の取扱いの細目は、日本郵便の約款・取扱案内の原文で確認が必要です。参考: e-Gov法令検索 / 日本郵便 / 法務省 / 消費者庁