このページの要点
- 催促は、請求書、支払案内・督促、催告書、配達を証明する方法での送付の四段階に分ける。最初から最終通告の形で出す必要はない。
- 期限は、固定日付か到達後の日数のどちらか一つにする。併記すると、到達が遅れたときに二つの期限が食い違う。期間は初日を算入せず、末日の終了で満了する(民法140条・141条)。
- 期日が決まっている債務は期日の到来から、期限の定めのない債務は履行の請求を受けた時から遅滞になる(民法412条)。遅延損害金は約定利率が法定利率を超えれば約定による(同419条)。
- 催告書の予告は、実際に取る予定のある手段に限る。催告と解除の意思を同じ書面に混ぜるときは、解除が条件付きなのか、改めて通知するのかを書面で明らかにする。
支払いの催促は「段階」で設計する|最初から最終通告にしない理由
代金や報酬が期日になっても入金されないとき、いきなり内容証明郵便で強い文面を送るべきか、まず穏やかな連絡から始めるべきかで迷う方は多いようです。結論からいえば、催促は「請求書」「支払案内・督促」「催告書」「配達を証明する方法での送付」という四つの段階に分け、段階ごとに目的と書くことを変えるのが基本です。段階を分けると、相手方の入れ違いや単純な失念には穏やかに対応でき、それでも動かないときには、後から「いつ、何を、どの方法で求めたか」を示せる状態が自然にできあがります。
ここで言葉の整理をしておきます。このページでは、請求書を「金額と期日を示して支払を求める書面」、督促状を「期日を過ぎたことを知らせて支払を促す書面」、催告書を「期限を区切って履行を求め、履行されなければ次の手段を取ることを予告する書面」と呼びます。法律の条文に「請求書」「督促状」という定義があるわけではなく、呼び名は取引の慣行によるものです。条文上意味を持つのは、「履行の請求」(民法412条3項)と「催告」(同541条、150条)という言葉のほうです。段階を分けるのは、書面の名前を変えるためではなく、条文上の効果が生じる場面を意識して書き分けるためです。
催促の四つの段階と、それぞれの目的
第1段階 請求書
金額・内訳・期日・振込先を示す、通常の書面
- 目的は、債務の内容と支払の方法を相手方に確定的に伝えること
- 期日が決まっている債務では、期日の到来だけで遅れの責任が始まる(民法412条1項)。請求書は期日を知らせる役割が中心
- 強い表現は不要。事実と数字だけを書く
第2段階 支払案内・督促
期日を過ぎたことを知らせ、入金の確認を求める
- 入れ違いや失念を前提にした、やわらかい文面にする
- 入金予定日を相手方に尋ねる一文を入れると、事情の聞き取りにもなる
- 期日、経過した事実、あらためての支払先を書く
第3段階 催告書
期限を区切って履行を求め、次の手段を予告する
- 「いつまでに」「何を」「どの方法で」を一義的に書く
- 期間を定めた催告は、契約の解除(541条)や時効の完成猶予(150条)の入口になる
- 予告は、実際に取る予定のある手段に限る
第4段階 配達を証明する方法で送る
内容と配達の事実を、第三者の記録に残す
- 内容証明は文書の内容を、配達証明は配達した事実を証明する取扱い(内容証明は郵便法48条)
- 送れば効力が生じるのではなく、「出した事実と中身」を後から示しやすくするための方法
- どの段階の文書を送るのかは、前の段階の経過を踏まえて決める
第3段階の催告書を、内容証明郵便などの配達を証明する方法で送る場合も多く、第3段階と第4段階は組み合わせて使います。郵便の種類ごとの役割分担は、ガイド全体の最初のページ(内容証明・通知書・催告書の全体像)で整理しています。
四つの段階は、すべて順番に踏まなければならないという意味ではありません。相手方との連絡が途絶えている、期限の利益を失う事情がある、時効の完成が近いといった事情があれば、第1・第2段階を省いて第3段階から始めることもあります。反対に、継続的な取引で相手方も事情を説明してくれている場合は、第2段階の確認で足りることもあります。次の節から、段階ごとに何を書くのかを具体的に見ていきます。
段階ごとに書く事項と、文末の強さの違い
四つの段階は、書く事項と文末の強さで見分けられます。段階が上がるほど、期限、履行してほしい内容、履行されなかったときに取る手段が明確になり、反対に感情的な形容や評価の言葉は減ります。強い言葉を並べるほど効果があがるわけではなく、相手方が「何を、いつまでにすればよいか」を一読で理解できるかどうかが、文書の実効性を左右します。
催促の段階ごとの書き方の比較
| 段階 | 主な目的 | 必ず書くこと | 文末の例 | 予告の程度 |
|---|---|---|---|---|
| 請求書 | 債務の内容と期日の伝達 | 請求の根拠となる契約、品名や役務の内容、金額と内訳、期日、振込先、請求書の発行日 | 「下記のとおりご請求申し上げます」 | 予告なし |
| 支払案内・督促 | 期日経過の通知と入金の確認 | 請求書の発行日と番号、期日、経過した事実、現時点の未払額 | 「入れ違いの際はご容赦ください。ご確認をお願いいたします」 | 次の連絡があり得る旨にとどめる |
| 催告書 | 期限を定めた履行の請求 | 契約の特定、未払額と内訳、履行の期限、支払方法、遅延損害金の扱い | 「○日までにお支払いください」 | 履行がなければ取る手段を、実際に取る予定のものに限って書く |
| 配達を証明する方法での送付 | 内容と配達の事実の記録 | 催告書と同じ事項。前の段階の経過(請求書の発行日、督促の日) | 「本書面到達後○日以内にお支払いください」など | 催告書と同じ。誇張した表現は避ける |
表の「予告の程度」の列は、実務で最も迷いやすい部分です。催告書で「期限までにお支払いがない場合は、法的手続を取らせていただきます」と書く場合、書いた以上は実際に取る手段としてその選択肢を持っている必要があります。実際には取る予定のない手段を並べると、書面の信頼性が下がるだけでなく、相手方に過度な不安を与える表現になりかねません。この限界は、通知書に書いてよい表現の範囲として、通知書に書いてよいこと・書いてはいけないことで扱っています。
請求書の記載で、あとの段階を支えるもの
請求書は、第2段階以降の土台になります。請求書に請求の根拠となる契約が特定されていなければ、あとの催告書で「何の代金か」を説明し直す必要が出てきますし、請求書の発行日が書かれていなければ、「いつ請求したか」の記録が曖昧になります。請求書には、請求書番号、発行日、請求の対象(品名、役務の内容、対象期間)、金額、期日、振込先、振込手数料の負担者を、最初から書いておくことをお勧めします。振込手数料の負担は、書かれていないために数百円の差額で入金額が合わず、「全額の入金がない」状態が続く原因になる例が少なくありません。
契約書の側にも、請求に関する定めを置いておくと、あとの段階が楽になります。たとえば、請求書に不備があった場合に、受領者がその旨を速やかに知らせ、修正後の請求書を再提出した時点を期日の起算点とする、という定めが見られます。この種の定めは、「請求書の不備」を口実とした支払の引き延ばしを防ぐ一方、請求書を出す側に、不備のない請求書を出す責任を意識させる効果もあります。
期限の書き方|固定日付か、到達後の日数か、二重に書いていないか
催告書で最も多い失敗は、期限の書き方です。「令和○年○月○日までにお支払いください」と固定の日付で書く方法と、「本書面到達後○日以内にお支払いください」と、到達を起点にした日数で書く方法のどちらも用いられますが、両方を一つの書面に書いてしまう例がよく見られます。たとえば、書面の本文に「本書面到達後7日以内」と書き、その後に「(すなわち○月○日)」と日付を括弧書きで添える書き方です。作成の時点では計算が合っていても、書面が予定の日に届かなかったり、不在で受け取りが遅れたりすると、「到達後7日」と「○月○日」が食い違い、どちらが期限なのかが読み手によって分かれてしまいます。
書き方の例(一般的な例) 期限の書き方
固定日付と到達後の日数の併記
または、到達後の日数だけにして、日付は括弧書きで添えない。
理由到達日がずれたときに、二つの期限が食い違うのを避けるため。固定日付にする場合は、書面が確実に届く日から十分な余裕をもった日を選ぶ。
「ただちに」「至急」
理由「至急」は期限を特定しておらず、後の催告期間の有無の判断を難しくするため。
入金の基準
理由振込の指示日と着金日は異なる。「入金」を基準にすると、遅れたかどうかの判断が明確になる。
固定日付と到達後の日数のどちらが優れているというわけではありません。固定日付は期限が明確で、読み手にとっても誤解が生じにくい方法です。一方で、書面が予定の日に届かなかったときに、催告期間が短くなってしまいます。到達後の日数は、受け取る側にとって公平ですが、「いつ到達したか」を確認する手間が生じます。通知はいつ「届いた」ことになるかで整理しているとおり、受取拒否や不在の場合の到達の扱いは場面によって異なるため、到達を起点にする場合は、郵便の追跡記録や配達証明の日付など、到達日を後から確認できる手段をあわせて取っておく必要があります。
期間の数え方で、日付が一日ずれる
「到達後7日以内」という書き方を選んだとき、期限の日はどう数えるのでしょうか。民法は、日・週・月・年によって期間を定めたときは、期間の初日は算入しないとしています(民法140条本文)。つまり、到達した日の翌日を1日目として数え、7日目の終わり(午後12時)に期間が満了します(同141条)。期間の末日が日曜日や祝日などの休日に当たる場合に、期間が翌日に満了するのは、「その日に取引をしない慣習がある場合に限り」とされています(同142条)。この規定は、期間の定めによって当然に翌日扱いになるという意味ではないため、休日をまたぐ催告期間は、日付で書くほうが安全です。期間の数え方の全般は、更新を断る・解約を申し入れる通知の期間の数え方で扱っています。
「到達後7日以内」の数え方の例(架空の日付ラベル)
- 到達日書面が相手方に届いた日この日は期間に算入しない(初日不算入)
- 第1日到達日の翌日ここから数え始める
- 第7日期間の末日この日の終了(午後12時)をもって期間が満了する。この日が休日のときは、取引をしない慣習があるかどうかで扱いが変わる
- 第8日履行がない状態になる最初の日次の段階に進むかどうかを判断する日。進む場合は、次の書面の内容を事前に整える
実際の数え方は、契約書に期間の計算の特別の定めがあればそれに従います。期間の計算方法は、法律行為に別段の定めがある場合を除いて民法の規定に従うとされています(民法138条)。
遅れの責任はいつ始まるか|遅延損害金の書き方
催告書や請求書には、遅延損害金を書くかどうかも決める必要があります。遅延損害金は、金銭の支払を遅れた場合に、遅れた期間に応じて支払う損害賠償です。まず、遅れの責任がいつ始まるのかを確認します。民法は、債務の履行について確定期限があるときは、期限が到来した時から遅滞の責任を負うとしています(412条1項)。契約書や請求書で支払期日が決まっていれば、請求をしなくても、期日を過ぎた時から遅滞の責任が始まります。これに対して、期限を定めなかったときは、債務者は履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負います(同条3項)。また、不確定期限のときは、期限の到来後に請求を受けた時か、期限の到来を知った時のいずれか早い時から、遅滞の責任を負います(同条2項)。
この違いが、請求書や催告書の位置づけを変えます。期日が決まっている債務では、請求書は期日を知らせる役割が中心ですが、期日の定めがない債務では、請求書や催告書が、遅れの責任の始まりを決める書面になります。つまり、「いつ請求したか」を残しておく意味が大きく、請求書の発行日や到達日を示せる方法を選ぶ必要が出てきます。
金銭の支払の遅れについて、損害賠償の額は、債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率によって定めるのが原則です。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率によります(民法419条1項)。債権者は損害の証明をすることを要せず、債務者は不可抗力を抗弁とすることができません(同条2項・3項)。法定利率は年3パーセントを出発点としつつ、法務省令で定めるところにより3年を一期として変動します(同404条2項・3項)。そのため、その時点の率は、法務省の公表で確認する必要があります。
書き方の例請求書・催告書に置く遅延損害金の記載例(一般的な例)
- お支払期日を過ぎた場合、期日の翌日から支払済みまで、未払額に対して年○パーセントの割合による遅延損害金が発生します。
- 前項の割合は、契約書の定めがある場合はその定めによります。契約書に定めがない場合は、民法所定の法定利率によります。
- 振込手数料は、お支払いいただく方のご負担となります。
約定の率を書く場合は、契約書にその率が定められていることを確かめてから書きます。契約書に定めがないのに高い率を請求書で突然示すと、請求の根拠を問われやすくなります。
相手方が消費者(事業としてではなく契約の当事者となる個人)である場合には、消費者契約法の規定にも注意が必要です。消費者が支払期日までに支払わない場合の損害賠償の額を予定する条項や違約金の条項は、年14.6パーセントの割合を乗じて計算した額を超える部分が無効とされています(消費者契約法9条2号)。契約書の定めだけでなく、請求書や催告書に書く率も、この範囲を超えないようにします。
金額・内訳・振込先|出す前に確かめるチェックリスト
期限と遅延損害金の次に、書面の記載事項を確かめます。どの段階の書面でも、金額の誤りや内訳の不足は、相手方に「支払わない理由」を与えることになります。特に、複数の請求がまとまっている場合は、一つひとつの請求の根拠と金額を明示しないと、相手方が「どの分について争っているのか」を整理できず、一部の入金や一部の異議が出たときの処理も複雑になります。
催促の書面を出す前の確認項目
- 請求の根拠になる契約や注文が、書面から特定できるか(契約の名称、契約日、注文番号など)
- 請求額は、元本、費用、遅延損害金に分けて記載しているか
- 金額は、税込か税別かが明記されているか(税込・税別の別は、請求書でも催告書でも同じ表記に統一する)
- 期限は、固定日付か到達後の日数のどちらか一つになっているか
- 振込先の金融機関名、支店名、口座の種類、口座番号、口座名義が、契約書または請求書の記載と一致しているか
- 振込手数料の負担者を書いているか
- 過去の請求書や督促の日付、番号を書いているか
- 一部入金や相殺があった場合に、控除後の額が計算できる表記か
- 「以上の記載について疑義があれば、期限までにご連絡ください」と、確認の窓口を書いているか
金額の表記では、税込と税別の取り違えが起きやすいため、書面のどこにも「税抜」「税別」「税込」の別が書かれていない状態は避けます。たとえば、請求書では税別の金額を記載しているのに、催告書では合計額だけを書き、その合計が税込であることを明記していないと、相手方から「別の金額ではないか」という疑問が出やすくなります。催告書の金額は、請求書の記載を転記して、一致していることを確かめます。
もう一つ、見落としやすいのが、相手方の宛先と送付方法です。請求書をメールで送っていた取引で、催告書だけを郵便で送る場合、メールで届いていた担当者と、郵便の宛先として契約書に書かれている代表者や本店所在地が一致しているかを確かめます。通知条項で定められた宛先と、実際の取引で使っていた連絡先が異なる場合は、両方に送るか、契約書の通知先に送るのが確実です。契約書の通知条項の読み方は、契約書の「通知」条項の作り方で整理しています。
予告の限度|催告書の文末に何を書き、何を書かないか
催告書の最後に書く「次にとる手段」の予告は、書きすぎても、書かなさすぎても問題が生じます。書かなければ、相手方にとって期限を守る動機が弱まります。書きすぎると、事実と離れた断定や過度な表現になり、書面の信頼性を損ないます。予告は、実際に取り得る手段に限り、条件と順序を明確にして書くのが基本です。
書き方の例(一般的な例) 催告書の文末の書き方
予告の範囲
理由「あらゆる」「直ちに」は、実際に取る手段と順序を特定していない。取る予定のない手段を並べると、書面の信頼性を下げる。
費用の請求
理由費用を請求できるかどうかは、契約の定めや実際に生じた費用による。断定しない書き方にとどめる。
催告と解除の関係
理由催告と解除の意思表示を混在させると、解除の意思表示が条件付きなのかが曖昧になる。整理の方法は次のページで扱う。
表の三つ目は、催告と解除の予告を一つの書面に混在させる例です。催告書に解除の予告を書く場合、「期限までに支払われない場合は、本契約を解除する」と書けば、それ自体を解除の意思表示とする読み方も可能であり、期間の経過をもって解除の効力が生じるのか、改めて解除の通知が必要なのかが読み手によって分かれます。解除は一度すると撤回できないため(民法540条2項)、どちらを意図しているかを書面の上で明らかにしておく必要があります。催告から解除までの順序と、同じ書面で出す場合の書き方は、催告と解除の順序で詳しく扱っています。
もう一つ、第3段階以降で押さえておきたいのは、時効との関係です。催告があったときは、その時から6か月を経過するまでの間は時効が完成しませんが、これは時効の完成を「猶予」するにとどまり、時効がそこで止まるわけではありません(民法150条1項)。また、催告によって時効の完成が猶予されている間にされた再度の催告には、完成猶予の効力がありません(同条2項)。時効が近い債権について、催告書を何度も送ることで時効を延ばし続けられるわけではないという点は、催告で時効は止まるのかで整理しています。
一部入金・分割・支払猶予の申し出があったとき
催促を続けるうちに、相手方から、一部だけ入金があった、分割にしてほしい、支払を少し待ってほしい、といった連絡が届くことがあります。このとき、請求する側が最初に確認するのは、相手方の連絡が「支払う意思があることの表明」にとどまるのか、「債務があることの承認」に当たるのかです。権利の承認があったときは、時効は、その時から新たにその進行を始めます(民法152条1項)。一部の弁済や支払猶予の申し出は、承認に当たる場合があります。ただし、承認に当たるかどうかは事案ごとの判断になり、書面のやりとりが、後の時効の問題と関わってくることがあります。
入金の連絡を受けたときの整理の順序
- 1金額と内訳を確認する入金された額が、請求額のどの部分に当たるかを確認します。請求書の番号や項目と対応させて記録します。
- 請求書の特定の項目に対応する該当項目を消し込み、残額を計算する
- 対応が不明相手方に、どの請求への入金かを確認する
- 2残額と次の期限を伝える受領の事実と、残りの額、次の期限を書面で伝えます。受領したことと、残額の支払を求めることを同じ書面に書きます。
- 3分割や猶予の申し出があるとき申し出を受け入れるかどうかを決め、受け入れる場合は、金額、回数、各回の期日、遅れたときの扱いを書面にします。
- 受け入れる分割払の合意書または確認書にして、双方が保管する
- 受け入れない申し出を断り、当初の期限と次の段階の予定を伝える
- 4記録を残す電話でのやりとりは、日時と内容をその日のうちに書き留め、メールなどの書面で確認を返します。
分割の合意書にする場合は、期限の利益の喪失(分割の支払が一度でも遅れたら残額を一括で支払う旨)の定めを置くかどうかも決めます。
分割払の合意は、請求する側に不利になることもあります。たとえば、当初の期限を過ぎた債務について分割を認めた場合、その後の遅延損害金をどう扱うのか、分割の途中で支払が止まったときに、元の期限から改めて催告が必要になるのか、といった点が曖昧になりがちです。合意書には、残額、各回の額と期日、遅れたときに残額の全部の支払を求めることができる旨、遅延損害金の扱い、通知先を書いておくと、あとの手続が楽になります。債務の承認や弁済の約束を書面にする際の時効との関わりは、催告で時効は止まるのかでも触れています。
催促を受ける側の読み方と、段階の設計で起きがちなこと
催促を受ける側にとっての読み方
このページは、主に催促を出す側の目線で書いてきましたが、催促を受ける側にも、段階の考え方は役に立ちます。受け取った書面が、請求書なのか、督促なのか、催告書なのかによって、確かめるべき点が違うからです。請求書であれば、請求の根拠となる契約や注文に心当たりがあるか、金額と内訳が合っているか、期日はいつかを確かめます。督促であれば、入金の履歴を確かめ、入れ違いがないかを調べます。催告書であれば、期限と、期限までに何をすればよいか、期限までに書面で何を返すかを読み取ります。
いずれの場合も、書面を受け取ったあとの対応は、「支払う」「争う」「確認する」の三つに分かれます。支払うなら、期限と金額、振込先を確認して支払い、領収の記録を残します。争うなら、どの部分を争うのかを整理して、書面で回答します。確認するなら、請求の根拠となる資料の開示を求めます。受け取った書面に回答する際の書き方と、受領と承認の違いは、通知書を受け取ったとき・届かないとき・間違えたときで整理しています。
起きがちなこと
場面別の起きがちなこと
- 最初の書面から「最終通告」「ただちに法的措置」といった強い言葉を使い、相手方が単純な失念だったことが後から判明して、関係が悪化した
- 催告書の期限を「到達後7日以内」と書きながら、括弧書きで日付も書いたため、書面の到達が遅れたときに期限の読み方が食い違った
- 請求書の発行日や番号を残しておらず、あとの催告書で「いつ請求したか」を示すのに時間がかかった
- 期限の定めのない債務について、請求書に期日を書かずに送ったため、遅れの責任がいつ始まったのかが曖昧になった
- 約定の遅延損害金の率が契約書に定められていないのに、催告書で高い率を示して、根拠を問われた
- 相手方が消費者であるのに、請求書に消費者契約法の上限を超える遅延損害金の率を書いてしまった
- 催告書に解除の予告を書いたが、それが解除の意思表示なのか、別途の通知が必要なのかが書面から読み取れなかった
- 一部の入金があった際に、受領の事実と残額を書面で伝えず、入金の充当先が後から争いになった
- 分割払の合意を口頭だけで済ませ、途中で止まったときに、残額の請求の根拠が示しにくくなった
- 複数の請求をまとめて一通の催告書にして、相手方の異議が一部だけだったときに、どの部分が争われているのか分からなくなった
よくあるご質問
請求書を送らずに、いきなり内容証明郵便で催告してもよいですか。
法律上、請求書を先に送らなければならないという決まりはありません。期日が決まっている債務では、期日を過ぎた時から遅れの責任が始まります(民法412条1項)。ただし、請求書や督促の記録がないと、後から「いつ、何を求めたか」の経過を示しにくくなり、相手方の失念だった場合には関係も硬くなります。時効が近いなど急ぐ事情がなければ、段階を踏むほうが穏当です。
催告書の期限は、固定の日付と到達後の日数のどちらが良いですか。
どちらも用いられますが、一つの書面に両方を書いて併記することは避けます。固定日付は明確ですが、書面の到達が遅れると期間が短くなります。到達後の日数は公平ですが、到達日の確認が必要になります。どちらを選ぶ場合も、発信日や到達日を後から確認できる送り方をあわせて取っておくと安全です。
遅延損害金は、契約書に定めがなくても請求できますか。
金銭の支払を遅れたときの損害賠償は、債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率によって定められます(民法419条1項)。債権者は損害の証明を要しません(同条2項)。約定利率が法定利率を超える場合は、約定利率によります。契約書に率の定めがなければ、法定利率が出発点になります。相手方が消費者の場合は、消費者契約法9条2号の上限にも注意が必要です。
催告書を送れば、時効は止まりますか。
止まりません。催告があったときは、その時から6か月を経過するまでの間、時効の完成が猶予されるにとどまります(民法150条1項)。催告による猶予の間にした再度の催告には、完成猶予の効力がありません(同条2項)。猶予の6か月の間に、裁判上の請求などの手続を取るか、書面による協議の合意をするか、相手方の承認を得るかを検討することになります。
一部だけ入金があった場合、残りの請求はどう書けばよいですか。
受領した額と、それが請求書のどの項目に対応するかを書面で確認し、残額と次の期限を伝えます。受領の事実と残額の請求を同じ書面に書くと、経過が分かりやすくなります。入金が連続する場合は、入金日と額を一覧にして、残額の計算を書面に添えると、後の食い違いを減らせます。
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本ページは一般的な情報提供です。個別の通知書の有効・無効や、争いの当否の判断は扱っていません。書き方の例として紹介している内容は、一般に見られる書き方を整理した例で、特定の事業者や案件を示すものではありません。条文は e-Gov 法令検索(法令API)で確認した現行のものに基づき、まだ施行されていない改正は現行の内容として扱っていません。郵便の取扱いの細目は、日本郵便の約款・取扱案内の原文で確認が必要です。参考: e-Gov法令検索 / 日本郵便 / 法務省 / 消費者庁