このページの要点
- 意思表示は原則として相手方に到達した時から効力を生じる(民法97条1項)。発信で足りるのは、法律や契約が特に定めた場合。
- 特定商取引法の申込みの撤回等は、書面または電磁的記録による通知を発した時に効力を生じる(9条2項、24条2項、40条2項、48条3項、58条2項)。
- 買主の不適合の通知は、不適合を知った時から1年以内(民法566条)。商人間の売買は、検査後直ちに通知を発する(商法526条)。
- 発信で足りる通知でも、発信日と内容を示せる記録(控え、郵便の記録、送信ログ)を残し、念のため到達も確認する。
期間内に何かを出さなければならない場面は、実は二つに分かれます。一つは、相手方に届いた時に効力が生じる通知で、もう一つは、期間内に「出した」ことで足りる通知です。前者は期間の最終日までに届く必要があり、後者は最終日に発していれば足ります。この違いを知らないまま、期限の直前に慌てて通知書を作ると、前者を後者と取り違えて期間を過ぎたり、後者なのに必要以上に急いで内容を誤ったりします。
このページでは、法律が発信で足りると書いている通知の代表であるクーリング・オフの考え方を軸に、売主に対する不適合の通知、商人間の検査と通知、取消権の期間といった「期限が決まっている通知」を、同じ物差しで並べて整理します。通知の到達の原則そのものは通知はいつ届いたことになるかのページで、期間の数え方の基本は更新を断る・解約を申し入れる通知の期間の数え方のページで扱っています。書き方の細目や、業種ごとの要件は別のガイドで扱います。
結論:「出せば足りる通知」と「届かなければならない通知」を分ける
意思表示の効力は、その通知が相手方に到達した時から生じる、というのが民法97条1項の原則です。契約の解除や取消しの意思表示は、この原則に従って、相手方に届いた時に効力が生じます。したがって、解除の通知を期間内に出すべき契約では、期間の最終日までに相手方に届くように出す必要があります。
これに対して、特定商取引法の申込みの撤回等は、書面または電磁的記録による通知を発した時に効力が生じます。つまり法律が、到達という原則に対する例外として、発信で足りる通知を作っています。同じ「期間内に通知する」でも、どちらに当たるのかは、条文の言い方を見て決めます。「発した時」とあれば発信が基準、「通知が到達した時」「通知が相手方に届いた時」などとあれば到達が基準です。条文が単に「通知」と書いているだけで基準が読み取れないときは、到達までを確実にする運用が無難です。
期間内に出す通知の4つの場面と、効力・数え方の違い
| 場面 | 条文の言い方 | 効力が生じる時点の読み方 | 期間の目安 |
|---|---|---|---|
| 訪問販売・電話勧誘販売などの申込みの撤回・契約の解除(クーリング・オフ) | 書面または電磁的記録による通知を発した時に効力を生ずる(特定商取引法9条2項、24条2項、40条2項、48条3項、58条2項) | 発信した時。相手方に届く前でも、期間内に発していれば足りる | 法定の書面を受領した日から起算して、類型により8日または20日 |
| 売買の目的物が種類・品質について契約の内容に適合しないとき(買主の通知) | 不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しないと、追完請求・代金減額請求・損害賠償請求・解除ができない(民法566条) | 条文は「通知」と書くだけで、発信か到達かは条文からは決まらない。到達まで確実にするのが無難 | 不適合を知った時から1年以内。売主が引渡し時に悪意・重過失なら適用されない |
| 商人間の売買の目的物の検査と通知 | 受領後遅滞なく検査し、不適合を発見したときは直ちに売主に対して通知を発しなければならない(商法526条1項・2項) | 条文は「通知を発し」と書く。発信が基準になる書き方 | 直ちに。直ちに発見できない不適合は、受領から6か月以内に発見したときも同様 |
| 取消権(錯誤・詐欺・消費者契約法による取消しなど)の行使 | 追認できる時から5年・行為の時から20年(民法126条)。消費者契約法4条1項から4項までの取消権は、追認できる時から1年・契約締結の時から5年(同法7条1項。一部の類型は3年・10年) | 取消しは相手方への意思表示。一般の原則どおり到達して効力を生じると読むのが無難(民法97条1項) | 上記の法定の期間が基準。契約書で期間を延ばせるかは別の問題として確かめる |
上の表は、期間内に出す通知の代表的な四つの場面を並べたものです。右の列の「期間の目安」は、起算日と日数を取り違えやすいところです。起算日の考え方は、場面ごとに条文が違うため、次の節以降で順に見ていきます。
クーリング・オフは「発した時」に効力が生じる
訪問販売の申込みの撤回等について、特定商取引法9条2項は、申込みの撤回等は、書面または電磁的記録による通知を発した時に、その効力を生ずると定めています。電話勧誘販売(同法24条2項)、連鎖販売取引(同法40条2項)、特定継続的役務提供(同法48条3項)、業務提供誘引販売取引(同法58条2項)にも、同じ趣旨の定めがあります。どれも、通知を発した時に効力が生じます。
この定めの意味は、相手方に届くまでの日数を、消費者の側が負担しなくてよいことにあります。期間の最終日にポストへ投函すれば、相手方に着くのが数日後であっても、期間内に撤回等をしたことになります。同じ趣旨から、書面だけでなく、電子メールなどの電磁的記録による通知も認められています。
起算日は、法定の書面を受領した日です。訪問販売では、申込書面または契約書面を受領した日から起算して8日(同法9条1項)、電話勧誘販売でも8日(同法24条1項)、特定継続的役務提供でも8日(同法48条1項)、連鎖販売取引と業務提供誘引販売取引では20日(同法40条1項、58条1項)です。申込書面と契約書面がそれぞれ交付される類型では、条文が「その日前に別の書面を受領した場合にあっては、その書面を受領した日」と書いているため、どの書面を受け取った日が起算日になるかを、書面の名称で確認する必要があります。
なお、期間が「受領した日から起算して」と書かれているときは、受領した日を1日目と数える読み方が一般的です。民法140条は、日、週、月または年で期間を定めたときは初日は算入しないと定めていますが、これは法令に特別の定めがない場合の原則で、条文が起算の仕方を書いている場合は、その文言に従います。迷うときは、余裕を持って早く発信します。
法定の書面を受領してから8日間の数え方(一般形の例)
- 第1日法定の書面を受領した日「受領した日から起算して」と書かれている場合、受領した日を1日目と数える読み方が一般的です。民法140条の「初日不算入」と違い、条文の文言を見て数え方を決めます。
- 第2日〜第7日通知を発することができる期間この間に、書面または電磁的記録による通知を発すれば足ります。郵便の窓口、ポスト、電子メールの送信など、発信の方法は問われません。
- 第8日期間の末日この日の終了までに発していれば、相手方への到着がその後でも効力に影響しません。ただし発信日の証明が必要です。
- 第9日以降原則として期間経過期間経過後でも、不実の告知や威迫のために行使できなかった場合は、事業者が交付する撤回等の案内書面を受領した日から改めて数える扱いがあります。
この時系列は、一般的な数え方の例です。実際の起算日は、法定の書面に記載された受領日や、書面が交付されなかった場合の扱いによって変わります。書面が交付されていない、記載に不備があるといった場合に期間がどう扱われるかは、類型ごとの要件に関わる部分なので、別のガイドで扱います。
また、事業者が撤回等に関する事項について不実のことを告げたり、威迫して困惑させたりして、そのために期間内に撤回等ができなかったときは、事業者が撤回等ができる旨を記載して交付した書面を受領した日から、あらためて8日(類型により20日)を数えます(同法9条1項ただし書など)。この例外は、期間が過ぎたと思い込んでいる人にとって重要ですが、要件に当たるかどうかの判断は個別の事情によるため、ここでは条文の骨子を紹介するにとどめます。
買主が売主に出す不適合の通知:知った時から1年
売買で引き渡された目的物が、種類または品質について契約の内容に適合しないとき、買主は、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求、契約の解除ができます。ただし、買主が不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しないと、これらの権利を失います(民法566条本文)。売主が、引渡しの時に不適合を知っていた、または重大な過失で知らなかったときは、この期間制限は適用されません(同条ただし書)。
この規定は、数量や権利の不適合には及びません。条文が「種類又は品質に関して」と限定しているからです。数量の不足や、権利の瑕疵がある場合は、別の期間制限の考え方になりますので、条文を確認して区別します。
通知の方法については、民法566条は発信か到達かを明記していません。そのため、1年の最終日に出す必要がある場合は、到達まで確実にするのが無難です。売主に届くまでの日数、受取拒否のおそれ、住所の変更などを考えて、早めに発信し、配達の記録が残る方法を選びます。
通知の内容も重要です。「何がどう契約の内容に適合しないのか」が分かるように、物の特定(注文番号、納品日など)、不適合の内容、気づいた時期、求める対応(修理、交換、代金の減額など)を書きます。単に「問題があります」では、後で何を通知したのかが争いになります。通知に添える写真や検査記録は、日付の分かる形で保存します。
契約書で、検収期間や通知期限を定めることも多くあります。たとえば、検収後一定の日数内に不適合の通知をしないときは合格とみなす、保証期間内に発見して発見後一定の日数内に具体的に示して通知した場合に限り有効とする、といった定めです。こうした定めは、民法の期間より短い期間を設けるものですが、契約当事者の立場によって、有効性の評価が分かれます。事業者間の取引でも、期間があまりに短く、実質的に権利行使を妨げるときは問題になりえます。契約書を読むときは、通知の基準日、日数、方法、内容、通知先を一つずつ確認します。
書き方の例契約書の検査・通知期限の定め方(一般的な例)
- 乙は、本商品の納入後遅滞なく検査を行い、種類、品質または数量が本契約の内容に適合しないことを発見したときは、検収期間内に、不適合の内容を具体的に示した書面(電子メールを含む。)により甲に通知する。
- 前項の通知は、書面を発した日に効力を生ずる。ただし、乙は発信の記録を保存し、甲の求めがあるときは提示する。
- 乙が検収期間内に第1項の通知を発しないときは、本商品は検査に合格したものとみなす。ただし、乙が検査によって直ちに発見することができない不適合については、乙がこれを知った時から一定の期間内に通知することを妨げない。
検収期間や通知期限の日数は「一定の日数」と置き、契約の性質に応じて定めます。発信で足りるのか到達が必要なのかを条文で書き分けておくと、期限の読み違いが起きにくくなります。
上の枠は、検査と通知期限を契約書に書くときの一般的な例です。期間を定めるときは、通知を発すれば足りるのか到達が必要なのかを書き分け、直ちに発見できない不適合の扱いも残しておくと、当事者の取扱いが読み取りやすくなります。
商人間の売買:検査と「直ちに」通知を発する義務
売買の当事者がどちらも商人である場合は、商法526条が働きます。買主は、目的物を受領したときは、遅滞なく検査をしなければなりません(同条1項)。検査で、種類、品質または数量が契約の内容に適合しないことを発見したときは、直ちに売主に対してその旨の通知を発しなければ、不適合を理由とする追完請求、代金減額請求、損害賠償請求、契約の解除ができなくなります(同条2項前段)。
この規定は、民法566条と違って、通知を発することが基準です。条文が「通知を発しなければ」と書いているので、期間に間に合うかどうかは発信日で判断する書き方になっています。また、直ちに発見できない不適合は、受領から6か月以内に発見したときも同様に、直ちに通知を発しなければなりません(同項後段)。売主が悪意であったときは、この規定は適用されません(同条3項)。
民法566条との違いは、商法526条が数量の不適合も対象にしていること、期間が「直ちに」と短いことです。商人間の取引では、受領後の検査と、見つけたときの通知を、社内の手順として決めておくことが重要です。受領した日、検査した日、不適合を見つけた日、通知を発した日を記録として残します。
なお、取引基本契約を結んでいる場合は、検収の期間や通知の方法を契約で定めるのが通常です。契約の定めと、商法526条の規定の関係は、契約の文言や取引の性質で異なるため、ここでは、通知の期間が複数の根拠から重なることに注意する、という一般論にとどめます。検収そのものの手続は別のガイドで扱います。
取消権の期間:行使が間に合うかを、日付で整理する
錯誤や詐欺、強迫などを理由とする取消権は、追認をすることができる時から5年間行使しないとき、または行為の時から20年を経過したときは、時効によって消滅します(民法126条)。消費者契約法による取消権(同法4条1項から4項まで)は、追認をすることができる時から1年間(一部の類型は3年間)行使しないとき、または契約締結の時から5年(一部の類型は10年)を経過したときに、時効によって消滅します(同法7条1項)。
ここでいう「追認をすることができる時」は、取消しの原因となった状況が消えて、取消権者が取消しをするかどうかを自由に判断できるようになった時です。誤認に気づいた時、困惑から解放された時などを、具体的な事案ごとに整理する必要があります。期間の起算点は、日付で書き出して、証拠となる資料(メール、契約書、記録)と照らして確認します。
取消しは、相手方に対する意思表示でします。意思表示は、原則として相手方に到達した時から効力を生じます(民法97条1項)。そのため、取消権の期間の最終日が近い場合は、発信で足りると考えず、到達まで確実にするのが無難です。取消しの意思表示の相手方が、契約の相手方である事業者なのか、権利を取得した第三者なのかも確認します。
また、取消権の期間は、法定のもので、契約書で延ばしたり、消費者に不利な特約を置いたりすることは別の問題になります。取消しの判断自体、つまり取消しの要件が満たされているかどうかは、このガイドでは扱いません。ここで扱うのは、取消しの意思表示を出す期間を日付で整理するという手続の側面です。
確認の問いと理由期間内に通知を出す前に、自分に問う確認
この通知の期間は、法律が定めているのか、契約書だけが定めているのか。
法律の期間には、合意で不利に変えられないもの(訪問販売・電話勧誘販売の撤回等の規定に反する、申込者等に不利な特約は無効。特定商取引法9条8項、24条8項)と、契約で調整できるものがあるため、根拠を最初に区別します。
条文や契約書は、期限を「発する」と書いているのか、「通知する」「到達する」と書いているのか。
同じ期限でも、発信日が基準なのか到達日が基準なのかで、投函・送信の最終日が変わります。
起算日は、受領した日・知った時・引渡しの日のどれか。それを何で確かめられるか。
書面の受領日、不適合を知った時、追認できる時は、後から食い違いが生じやすい日付です。記録の有無で証明の難易が変わります。
期限の最終日は休日にあたらないか。休日に当たったとき期間が延びる定めはあるか。
民法142条は、その日に取引をしない慣習がある場合に限り翌日に満了とします。特別の定めがあれば別ですが、延びる前提で最終日に出すのは避けます。
発信の事実と、通知した内容を、どの方法で残すか。
発信主義でも、発信したことや内容が争われれば、出した側が示す必要が出てきます。郵便の種類や送信記録の組み合わせを、出す前に決めておきます。
確認の問いは、通知書の文面を作る前に書き出しておきます。期間の判断が後から変わらないよう、日付の根拠も一緒に控えます。
発信日を証明する:郵便・電子メール・記録の組み合わせ
発信で足りる通知でも、発信の事実と内容が争われたときは、出した側が示す必要があります。そのため、通知を発した日と内容を示す記録を、出す前に準備します。郵便の取扱いには、書留(引受けから配達に至るまでの記録。郵便法45条)、配達証明(郵便物を配達し、または交付した事実の証明。同法47条)、内容証明(郵便物の内容である文書の内容の証明。同法48条)があります。それぞれの役割は違います。内容証明は、何を書いたかを証明するもので、いつ届いたかを証明するのは配達証明です。発信日の証明には、差出しの日付が分かる控え(引受けの記録)が役立ちます。引受けの時刻の証明という取扱いもありますが、取扱いの条件は日本郵便の案内の原文で確認が必要です。
電子メールで発信するときは、送信日時の記録が残るメールの送信済みデータ、宛先、添付ファイルの内容を保存します。メッセージアプリを使う場合も、画面の保存だけでなく、送信日時と宛先が分かる形で残します。電磁的記録による通知が法律で認められている撤回等では、通知の内容と発信日時を示せることが重要です。
念のため、到達も確認する運用を併用します。相手方に返信を依頼する、配達の記録を追跡する、電話で確認するなどの方法です。発信で足りる通知でも、相手方が通知を受け取っていない前提で動かれると、ほかのトラブルが起きるため、到達の確認は無駄になりません。通知が届かなかったときの扱いは、届く時点のページで整理しています。
通知を電子的に出す場合の注意と、送ったあとに何を残すかは、メール・LINE・電子契約サービスでの通知と記録のページで詳しく扱っています。
書き方の例(一般的な例) 期限の書き方
通知の期限と効力
理由「通知する」だけでは、発信日で足りるのか到達日までに必要なのかが読み取れません。基準日を条文で決めると、締切の逆算ができます。
不適合の通知
理由「速やかに」「連絡」は、いつまでに何をすれば足りるのかが分かりません。日数、方法、内容、基準日を一文に入れます。
期間の最終日に出すときの注意
最終日に出す必要がある場面では、次の三点を確認します。第一に、発信の方法が最終日に使えるかです。郵便局の窓口の営業時間、ポストの最終集荷時刻、郵便の差出し日の扱いは、日本郵便の案内で確認します。夜間に電子メールを送る場合は、送信日時の表示が日本時間で記録されることを確認します。
第二に、期間の末日が休日のときです。民法142条は、期間の末日が日曜日、国民の祝日その他の休日に当たるときは、その日に取引をしない慣習がある場合に限り、期間はその翌日に満了すると定めています。法律や契約が別の定めをしているときは、それに従います。休日の翌日に延びる前提で動くのは避け、休日の前に発信するのが安全です。
第三に、通知の内容に誤りがあったときです。発信で足りる通知では、誤りを直した通知を期間内に再度発することができるかが問題になります。期間の最終日に出した通知に誤りがあって、期間が過ぎてから直そうとしても、間に合わないおそれがあります。出す前に、当事者、契約の特定、日付の三点を読み直します。
こうした最終日の判断は、期限を逆算するときの基本です。契約書の更新拒絶や解約の予告の期限の数え方は期間の数え方のページ、催告による時効の完成猶予の6か月は時効と催告のページを参照してください。
期間内に出す通知のチェックリスト
- 根拠が法律か契約書かを確かめ、期間と起算日を書き出した。
- 発信で足りる通知か、到達が必要な通知かを、条文または契約書の文言で確かめた。
- 最終日ではなく、遅くとも余裕のある日に発信する予定を立てた。
- 通知に、契約の特定、通知の趣旨、発信日を記載した。
- 発信の方法(郵便の種類、送信方法)と、控えの保存先を決めた。
- 念のため、相手方への到達も確認する方法(追跡記録、返信の依頼)を用意した。
期間内の通知で起きがちなこと
期間内に出す通知で起きがちなことを、場面別に整理します。多くは、起算日と基準日の取り違え、最終日の直前の作業、記録の不足に集約されます。
期間内の通知で起きがちなこと
- 法定の書面を受け取った日を、契約を結んだ日と取り違えて、期間が過ぎたと思い込む。
- 期限の最終日に通知書を作り始め、封筒の宛先や押印を直しているうちに投函が間に合わなくなる。
- 発信で足りる通知と思い込み、実際には到達が必要な契約条項の通知で期間を過ぎる。
- メールで通知したが、送信記録を残さず、後から発信日を示せなくなる。
- 契約不適合を知った時を、引渡しの日とは別の日として整理していないため、1年の起算日がぶれる。
- 取消しの期間を契約書で延ばせると考え、法定の期間経過後に通知を出す。
これらは、通知の内容そのものよりも、日付の根拠と手順の問題です。出す前に、根拠、起算日、発信か到達か、最終日、発信の方法、控えの保存先を、一覧にして確認する習慣をつけると、多くは防げます。
よくあるご質問
クーリング・オフの通知は、期間内に出せば、相手に届くのが期間後でも有効ですか?
特定商取引法は、申込みの撤回等は、書面または電磁的記録による通知を発した時に効力を生ずると定めています(9条2項、24条2項、40条2項、48条3項、58条2項)。したがって、法定の期間内に通知を発していれば、相手方への到着が期間後でも、効力に影響しません。ただし、発信の日と内容を後から示せるように、控えや郵便の記録、電子メールの送信記録を残しておく必要があります。
契約不適合の通知は、いつまでに出せばよいですか?
売主が種類または品質について契約の内容に適合しない目的物を引き渡した場合、買主は、不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しないと、追完請求・代金減額請求・損害賠償請求・契約の解除ができなくなります(民法566条)。売主が引渡しの時に悪意または重過失であったときは、この限りではありません。民法566条は発信か到達かを明記していないため、到達まで確実にする方法で、余裕を持って出すのが無難です。
商人間の売買の検査と通知は、民法の1年より短いのですか?
商人間の売買では、買主は受領後遅滞なく検査し、不適合を発見したときは直ちに売主に対して通知を発しなければ、不適合を理由とする追完請求などができなくなります(商法526条1項・2項)。直ちに発見できない不適合は、6か月以内に発見したときも同様です。売主が悪意のときは適用されません(同条3項)。民法566条より期間が短い場面があるため、取引の相手方が商人かどうかを先に確認します。
取消権の期間は、契約書で延ばせますか?
取消権の期間は、民法126条が追認できる時から5年・行為の時から20年と定め、消費者契約法7条1項が、同法4条1項から4項までの取消権について追認できる時から1年・契約締結の時から5年(一部の類型は3年・10年)と定めています。契約書の記載で、法定の期間を延ばした場合の効力は、条文と契約の内容を確認する必要があり、本ガイドでは扱いません。期間は、法定のものを基準に日付で整理します。
期間の最終日が休日のときは、翌日に出してもよいですか?
民法142条は、期間の末日が日曜日、国民の祝日その他の休日に当たるときは、その日に取引をしない慣習がある場合に限り、期間はその翌日に満了すると定めています。法律や契約書が別の定めをしているときは、それが優先します。延びることを前提にせず、休日の前に発信することをお勧めします。
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本ページは一般的な情報提供です。個別の通知書の有効・無効や、争いの当否の判断は扱っていません。書き方の例として紹介している内容は、一般に見られる書き方を整理した例で、特定の事業者や案件を示すものではありません。条文は e-Gov 法令検索(法令API)で確認した現行のものに基づき、まだ施行されていない改正は現行の内容として扱っていません。郵便の取扱いの細目は、日本郵便の約款・取扱案内の原文で確認が必要です。参考: e-Gov法令検索 / 日本郵便 / 法務省 / 消費者庁