このページの要点
- 取消しは意思表示の瑕疵などを理由に契約を初めから無効にし、解除は有効に成立した契約を債務不履行などを理由に解く。
- 取消し・解除・相殺は相手方に対する意思表示でする。解除は撤回できず(民法540条2項)、相殺には条件や期限を付けられない(民法506条1項)。
- 根拠の条文は、契約の種類(請負か準委任か)と自分の立場(注文者か請負人か)で使えるものが変わる。
- 書き出しは、契約の特定→事実→根拠→求める効果→期限の順に。根拠を並べるときは順序と関係を明示する。
結論:「契約をなかったことにしたい」は、言葉と根拠を選んで初めて通知になります
契約をやめたい、という気持ちは同じでも、取消し、解除、解約、撤回、相殺、更新拒絶は、それぞれ法的な意味と効果、根拠となる条文、使える立場、行使できる期間が違います。通知書に「契約を取り消します」と書くのか、「解除します」と書くのか、「更新しません」と書くのかで、相手方との関係の終わり方も、その後に残る義務も変わってきます。ですから、通知書の書き出しで最初に決めるのは、どの言葉で、どの根拠によって、何を主張するのかです。
もう一つ、見落としやすいのは、根拠の条文が、自分の立場で使えるものかどうかです。たとえば、請負で「いつでも損害を賠償して契約を解除できる」という民法641条は、注文者のための規定で、請負人が使えるものではありません。同じ業務委託でも、成果物の完成を目的とする請負なのか、事務の処理を委ねる準委任なのかで、使える規定は変わります。このページでは、言葉ごとの効果の違いを一覧にし、契約の種類と立場に応じた根拠の選び方、複数の根拠を並べる書き方、通知書の書き出しの構成を順に整理します。
- 取消しは、意思表示に瑕疵などがあるときに契約を初めから無効にするもの。解除は、有効に成立した契約を、債務不履行などを理由に解くもの。
- 取消し・解除・相殺は、いずれも相手方に対する意思表示によってする(民法123条、540条1項、506条1項)。到達した時から効力を生じるのが原則。
- 解除の意思表示は撤回できない(民法540条2項)。相殺の意思表示には条件や期限を付けられない(民法506条1項)。
- 根拠の条文は、契約の種類(請負・準委任・賃貸借など)と、自分の立場(注文者か請負人か)で変わる。使えない条文を引くと、通知の根拠そのものが崩れる。
- 一つの根拠に絞れないときは、根拠を予備的に並べる書き方がある。ただし、効果が両立しない根拠を並べるときは、順序と関係を明示する。
通知の類型の整理や、郵便の取扱いの役割は全体像のページで、催告と解除の順序は催告と解除の順序のページで詳しく扱います。
言葉ごとの効果の差:取消し・解除・解約・撤回・相殺・更新拒絶
まず、主な言葉を横に並べて、何をするものか、いつから効果が生じるか、代表的な根拠は何かを整理します。ここでの整理は、考え方の地図です。個別の事案で、どの言葉が使えるかの判断は扱いません。
言葉ごとの効果と根拠の例
| 言葉 | 何をするものか | 効果の及ぶ範囲 | 代表的な根拠の例 |
|---|---|---|---|
| 取消し | 意思表示に瑕疵(錯誤、詐欺・強迫、制限行為能力、消費者契約法の誤認・困惑など)があるとき、その契約を取り消す | 取り消された行為は初めから無効であったものとみなされる(民法121条) | 民法95条、96条、5条2項、120条、消費者契約法4条 |
| 解除 | 相手方の債務不履行などを理由に、有効に成立した契約を解く | 各当事者は相手方を原状に復させる義務を負う(民法545条1項)。賃貸借の解除は将来に向かってのみ効力を生ずる(民法620条) | 民法541条、542条、約定解除(契約書の解除条項) |
| 解約(解約の申入れ) | 継続的な契約を、将来に向かって終わらせる。期間の定めのない契約の終了などで使われる | 将来に向かって終了する。契約書や法令の定める予告期間が問題になる | 民法617条(期間の定めのない賃貸借)、契約書の解約条項 |
| 撤回 | 申込みの撤回や、法律が認めた撤回等(クーリング・オフなど) | 契約が成立する前の申込みの撤回か、成立後の撤回等かで異なる | 民法523条(承諾の期間の定めのある申込み)、特定商取引法9条など |
| 相殺 | 互いに同種の債務を負うとき、対当額で債務を消滅させる | 双方の債務が相殺に適するようになった時にさかのぼって効力を生ずる(民法506条2項) | 民法506条 |
| 更新拒絶 | 期間満了により契約を更新しない旨を相手方に伝える | 期間満了で契約が終了する。更新拒絶の期限や要件は契約書や法令による | 契約書の更新条項、借地借家法26条以下など |
| 合意による解除 | 当事者の双方が合意して契約を終わらせる | 合意の内容による。精算や存続条項を合意書で定める | 契約自由の原則。通知ではなく合意書面で行うのが通常 |
表のうち、取消しと解除の違いは、通知書の書き方に大きく響きます。取消しは、契約が初めから無効であったものとみなされるので、双方が受け取ったものを返す関係になります。解除は、契約が有効に存在していたことを前提に、これを解く手続です。「契約を取り消し、予備的に解除する」と並べて書く場合でも、二つの根拠は別々の条件で成り立つため、書き分けが必要です。
解約という言葉は、民法では、期間の定めのない賃貸借の「解約の申入れ」(民法617条)などの形で出てきますが、契約書では、中途解約、解除、終了といった言葉と混ざって使われます。契約書に「解約」と書かれていても、その条項が、将来に向かってのみ契約を終了させる条項なのか、債務不履行を理由に解く条項なのかを、条項の中身から読み取ることが大切です。
表の中の撤回等と相殺、更新拒絶は、それぞれ独自の論点があるため、別のページで掘り下げています。クーリング・オフのように、通知を発した時に効力が生じる撤回等の数え方は期間内に出す通知のページで、相殺の意思表示の方式と債権譲渡の通知は相殺・債権譲渡の通知のページで、更新拒絶の期限の逆算は期間の数え方のページで扱います。このページでは、その入り口となる「言葉の選び方」に絞ります。
もう一つ注意したいのは、「キャンセル」「破棄」「白紙」「無効」といった、法律上の用語ではない言葉です。日常の会話ではよく使われますが、通知書に書くと、取消しなのか、解除なのか、合意解除の申入れなのかが読み取れません。相手方が通知を受け取っても、何に対して応答すればよいのか分からず、結果として、意思表示の効力そのものが争いの対象になりかねません。通知書の中では、法律上の言葉を選んで、根拠とともに書きます。
取消し:事由、方法、行使期間、追認とされる動き
取消しができる事由には、錯誤(民法95条)、詐欺または強迫(民法96条)、制限行為能力(民法5条2項、120条1項)、そして消費者契約法に基づく取消し(誤認や困惑を理由とするもの。消費者契約法4条)があります。取り消すことができる行為の相手方が確定している場合には、その取消しは、相手方に対する意思表示によってします(民法123条)。取り消された行為は、初めから無効であったものとみなされます(民法121条)。
取消権には、行使できる期間があります。民法では、取消権は追認をすることができる時から5年間行使しないとき、または行為の時から20年を経過したときに時効によって消滅します(民法126条)。消費者契約法による取消権は、追認をすることができる時から1年間(一部の類型は3年間)行使しないとき、または契約の締結の時から5年(一部の類型は10年)を経過したときに消滅します(消費者契約法7条1項)。期間の起算日の判断は個別の事情によるため、ここでは、期間の制限があることと、通知書にそれを意識した日付を記載する必要があることの確認にとどめます。
取消しの通知で、特に注意したいのが「追認」です。取り消すことができる行為について、追認をすることができる時以後に、全部または一部の履行、履行の請求などの事実があったときは、追認をしたものとみなされます。ただし、異議をとどめたときは、この限りではありません(民法125条)。取消事由に気づいた後に、通常の取引と同じように請求や履行を続けてしまうと、取消しの主張が難しくなる可能性があります。取消しを検討している間の連絡では、その点を意識した書き方にします。
確認の問いと理由取消しを通知書に書く前に、確かめること
どの事由に基づく取消しですか。
錯誤、詐欺・強迫、制限行為能力、消費者契約法の誤認・困惑など、事由によって要件が違う。「取り消します」と書くだけで済ませず、事由と事実を特定する。
取消権の行使期間は、いつ起算されますか。
民法126条や消費者契約法7条の期間は、追認をすることができる時(取消しの原因となっていた状況が消滅し、かつ取消権を有することを知った後)などから数える。日付の整理が必要。
取消事由を知ったあとに、請求や履行をしていませんか。
履行の請求などは、法定追認(民法125条)とみなされるおそれがある。異議をとどめる書き方も含めて確認する。
契約を取り消した後の、受け取ったものの返還はどう扱いますか。
取り消された行為は初めから無効とみなされるので、双方が受け取ったものの返還が問題になる。通知書で求める返還の内容を整理する。
解除:法定解除・約定解除・合意解除の違いと、効果
解除は、契約がいったん有効に成立したことを前提に、これを解く意思表示です。契約または法律の規定により当事者の一方が解除権を有するときは、その解除は、相手方に対する意思表示によってします。この意思表示は、撤回することができません(民法540条)。通知書に「解除する」と書いて出してしまうと、後から「やはり撤回します」とは言えません。書面を出す前に、解除の要件を満たしているか、他の手段(催告のみ)にとどめるべきではないかを確かめる理由がここにあります。
解除の四つの入口
催告による解除
法定解除(民法541条)
- 相当の期間を定めて履行を催告し、その期間内に履行がないとき
- 期間経過時の不履行が軽微であるときは解除できない
- 催告と解除の意思表示を一つの書面で出す書き方もある
催告によらない解除
法定解除(民法542条)
- 履行不能、履行拒絶の明確な表示、一定の日時までの履行が必要な場合の経過など
- 催告をしても履行の見込みがないことが明らかな場合を含む
- 債権者の責めに帰すべき事由による不履行では解除できない(民法543条)
約定解除
契約書の解除条項
- 契約書が定める事由(違反、支払停止など)に該当したとき
- 催告の要否、期間の日数、通知の方法は契約書による
- 民法の要件より緩い定めも、厳しい定めもある
合意解除
当事者の合意
- 双方が合意して契約を終わらせる
- 精算、存続させる条項、秘密保持などを合意書で定める
- 一方的な意思表示ではなく、通知書ではなく合意書で行う
解除の効果は、各当事者が相手方を原状に復させる義務を負うことです(民法545条1項)。金銭を返還するときは、受領の時から利息を付す必要があり(同条2項)、解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げません(同条4項)。ただし、賃貸借の解除は将来に向かってのみ効力を生じます(民法620条)。つまり、継続的な契約では、解除しても過去の分の清算が当然には生じない場合があります。通知書で「原状回復」「返還」を求めるときは、契約の種類に合った表現にします。
解除の順序、特に催告のあとに解除を出す場合の手続は、催告と解除の順序のページで詳しく見ます。ここでは、解除と、取消しや解約との境目を確かめるにとどめます。
契約の種類と立場で変わる根拠:請負・準委任・賃貸借の例
通知書で引く条文が、自分の立場で使えるものかどうかは、契約の種類と立場の組み合わせで決まります。次の表は、考え方の一例です。契約の実態が書面の題名と違う場合は、実態に即して整理し直す必要があります。
契約の種類と立場ごとの根拠の考え方
| 契約の種類 | 発注・委託する側が使える根拠 | 受注・受託する側が使える根拠 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 請負(成果物の完成が目的) | 仕事が完成しない間は、いつでも損害を賠償して契約を解除できる(民法641条)。債務不履行解除(541条、542条) | 民法641条は使えない。契約書の解除条項、相手方の債務不履行(代金の不払い、協力義務の不履行など)を理由とする解除(541条、542条)、合意解除 | 解除の主体を取り違えやすい。注文者の任意解除の規定を、請負人が引いてはならない |
| 準委任(事務の処理が目的) | 各当事者がいつでも解除できる(民法651条1項、656条による準用) | 同上 | 相手方に不利な時期に解除したときは、やむを得ない事由がない限り損害賠償の責任を負う(民法651条2項1号) |
| 期間の定めのない賃貸借 | 解約の申入れ(民法617条)。建物の賃貸借は申入れの日から一定の期間を経過して終了する | 同上 | 建物賃貸借には借地借家法の特則がある。期間の数え方は別のページで扱う |
| 継続的な業務委託(契約書に中途解約条項あり) | 契約書の中途解約条項に従う | 同上 | 予告期間、違約金、書面か否かなど、条項の定めに従う。法令による予告の義務は別途確認が必要 |
表のとおり、請負と準委任では、使える解除の根拠が大きく違います。同じ「業務委託契約」という題名でも、納品物の完成が契約の中心であれば請負の性質が、作業や助言の提供が中心であれば準委任の性質が強まります。契約書に類型が明記されていない場合は、約定の内容(報酬の決め方、成果物の定め、指揮命令の有無など)から整理します。
確認の問いと理由根拠の条文を選ぶときの確認の問い
契約書に、解除・解約に関する条項がありますか。
契約書の定めが民法の規定より優先する場面が多い。まず契約書の条項番号を特定し、要件(催告の要否、期間、事由)を確かめる。
その契約は、請負と準委任のどちらに近いですか。
請負ならば民法641条は注文者だけが使える。準委任ならば651条が各当事者に認められる。立場と契約の性質の組み合わせで、使える根拠が変わる。
解除の根拠にする不履行は、自分の側の事情で生じたものではありませんか。
債務の不履行が債権者の責めに帰すべき事由によるときは、債権者は解除できない(民法543条)。協力義務の不履行などが絡むときは、特に確認する。
解除ではなく、合意解除や中途解約の条項で足りませんか。
一方的な意思表示である解除は撤回できず、相手方との対立も深まりやすい。合意解除や、契約書の中途解約条項で終了できる場合は、そちらのほうが負担が小さいことがある。
複数の根拠を並べる書き方と、撤回できない意思表示の重さ
通知書を作るとき、根拠が一つに絞れないことがあります。たとえば、契約書の解除条項に基づく解除と、民法541条に基づく解除の、どちらを根拠にするか。あるいは、取消しと解除の、どちらを主張するか。こうした場合に、根拠を「予備的に」並べる書き方があります。「第一に○○に基づいて取り消す。仮に取消しが認められない場合は、予備的に△△に基づいて解除する」といった形です。
書き方の例(一般的な例) 根拠の書き方
根拠が一つ
理由一つの根拠が使えない立場だったり、要件を満たさなかったりすると、通知の効力全体が争われる。使える根拠を確かめたうえで、複数の根拠を並べておくほうが、通知が生きる余地が広がる。
効果が両立しない言葉
理由取消しは契約を初めから無効にし、解除は有効だった契約を解く。両立しない効果を無整理に並べると、書面の趣旨が読み取れない。
条件を付ける意思表示
理由相殺の意思表示には、条件や期限を付けることができない(民法506条1項)。条件を付けると、相殺の効力が認められない。
書き方の例根拠を並べる書き出し(一般的な例)
- 通知人は、貴殿に対し、本契約第○条に基づき、本契約を解除する旨の意思表示をします。
- 前項の解除が本契約第○条の要件を満たさないと判断される場合に備え、通知人は、予備的に、民法541条に基づき、本契約を解除する旨の意思表示をします。ただし、この意思表示は、本書面の到達から○日を経過しても貴殿の履行がなされない場合に効力を生ずるものとします。
- 解除に伴う精算については、本契約第○条に従い、別途協議を求めます。
予備的に解除を並べる場合は、期間の経過を条件にする書き方もあります。解除の意思表示は撤回できないため、条件の内容を明確にしておきます。条件を付ける解除の書き方は、催告と解除の順序のページで掘り下げます。
撤回できない意思表示の重さは、書面の作り方に直結します。解除の意思表示を出してから、相手方が履行を始めたとしても、解除の効力が当然に消えるわけではありません。逆に、まだ迷っている段階で「解除します」と書くと、後戻りができません。迷いがあるうちは、催告にとどめ、期間内に履行がなければ解除する、という二段階の書き方を選ぶ考え方があります。
通知書の書き出しの構成:契約の特定から求める効果まで
言葉と根拠が決まったら、通知書の書き出しを組み立てます。構成は、契約の特定、事実、根拠、求める効果、期限の順に並べるのが、最も読み手に伝わりやすい形です。
書き方の例(一般的な例) 書き出しの言葉の選び方
日常の言葉
理由日常の言葉では、取消し・解除・合意解除の申入れのどれなのか読み取れない。意思表示の内容が特定できないと、効力が争われる。
契約の終わらせ方の混在
理由解約と解除は、要件も効果も違う。契約書のどの条項に基づくのかを書くと、予告期間や精算の扱いも条項に沿って整理できる。
相手方の立場の取り違え
理由条文を示さないと、根拠が使えない立場かどうかを自分でも確かめにくい。立場の取り違えは、通知の根拠そのものが崩れる原因になる。
通知書の書き出しの構成
- 1契約の特定当事者の名称、契約の名称、締結年月日、契約書の条項番号など。どの契約について通知しているのかを、他の契約と取り違えられない程度に書く。
- 2事実通知の前提になる事実を、日付とともに書く。履行の状況、期限の経過、催告の日、相手方の対応など。評価や感想は書かず、事実に限る。
- 3根拠契約書の条項と、民法などの条文。自分の立場で使える条文に限って示す。予備的な根拠があれば、順序とともに書く。
- 4求める効果取り消す、解除する、相殺する、更新しない、といった意思表示そのものを、一文で言い切る。そのほか、返還や精算を求める場合は、別の項目として書く。
- 5期限と連絡先期限があれば起点と期間を一つの表現にそろえる。返信や連絡の窓口を書く。
「意思表示そのもの」と「それに伴う求め」を分けて書くと、意思表示の部分が読み取りやすくなります。
書き出しの最初の数行は、相手方が最初に目にする部分であり、後から書面の趣旨を説明するときにも参照される部分です。次のチェックリストで、書き出しを確かめます。
書き出しを確かめるチェックリスト
- 契約が特定できるか(当事者、契約名、条項番号)。
- 主張する言葉が一つ(または順序付きの複数)に決まっているか。
- 根拠の条文は、自分の立場で使えるものか。
- 意思表示の部分が、一文で言い切られているか。
- 期限があれば、起点と期間が一つの表現にそろっているか。
- 解除を書くときは、撤回できないことを理解したうえで出すか。
期間に関わる書き出し(更新拒絶や解約の申入れ)は、締切の逆算が欠かせません。期間の初日の数え方や、月単位の期間の読み方は更新を断る・解約を申し入れる通知の期間の数え方で扱います。
起きがちなこと:言葉の選び方のつまずき
場面別の起きがちなこと
- 受託者の側から契約を終わらせる通知書に、注文者のための任意解除の条文を根拠として引いてしまい、根拠そのものが使えない立場だった。
- 「取り消す」と書くべきところに「解除する」と書き、事由の特定がないため、何を主張しているのかが分からなくなった。
- 取消事由に気づいた後に、通常どおり請求や履行を続けてしまい、追認とされる可能性が生じた。
- 解除の意思表示を出したあとで、相手方が履行を始めたため、解除を撤回しようとしたが、撤回できなかった。
- 相殺の通知に「異議がなければ」という条件を付けてしまい、相殺の効力が認められるか疑問が残った。
- 契約書に「解約」と書かれていたが、条項の中身が債務不履行を理由とする解除だったため、通知書の言葉と条項の中身が噛み合わなかった。
- 根拠を複数並べたが、効果が両立しない言葉を順序なしに書いたため、書面の趣旨が読み取れなかった。
よくあるご質問
取消しと解除は、何が違いますか。
取消しは、意思表示に錯誤・詐欺・強迫・制限行為能力などの瑕疵があるときに、その意思表示を初めからなかったことにするものです。取り消された行為は、初めから無効であったものとみなされます(民法121条)。解除は、有効に成立した契約を、債務不履行などを理由に解くものです。解除の効果は、各当事者が相手方を原状に復させる義務を負うことです(民法545条1項)。
解除の意思表示を出してから、やはり撤回できますか。
できません。民法540条2項は、解除の意思表示は撤回することができないと定めています。迷いがあるときは、解除の意思表示を出す前に、まず催告にとどめるか、催告に期間内に履行がなければ解除する旨を併せて書く方法を検討します。
請負の契約を、請け負った側から途中でやめたいときは、民法641条を使えますか。
民法641条は、請負人が仕事を完成しない間は、注文者がいつでも損害を賠償して契約を解除できるという規定で、使えるのは注文者です。請負人の側から契約を終わらせるときは、契約書の解除条項や、相手方の債務不履行(代金の不払いなど)を理由とする解除、合意解除などを検討します。契約が請負でなく準委任の性質なら、民法651条が各当事者に認められます。
相殺の通知に、条件を付けてもよいですか。
付けられません。民法506条1項は、相殺は当事者の一方から相手方に対する意思表示によってするとし、その意思表示には条件または期限を付することができないと定めています。条件にあたる部分は、別の連絡として切り分けます。
取消しの通知は、いつまでにすればよいですか。
行使できる期間が決まっています。民法では、追認をすることができる時から5年、行為の時から20年(民法126条)、消費者契約法による取消しは、追認をすることができる時から1年(一部は3年)、契約締結の時から5年(一部は10年)です(消費者契約法7条1項)。起算日の判断は個別の事情によるため、通知書には日付を整理して記載します。
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本ページは一般的な情報提供です。個別の通知書の有効・無効や、争いの当否の判断は扱っていません。書き方の例として紹介している内容は、一般に見られる書き方を整理した例で、特定の事業者や案件を示すものではありません。条文は e-Gov 法令検索(法令API)で確認した現行のものに基づき、まだ施行されていない改正は現行の内容として扱っていません。郵便の取扱いの細目は、日本郵便の約款・取扱案内の原文で確認が必要です。参考: e-Gov法令検索 / 日本郵便 / 法務省 / 消費者庁